華岡青州の妻

まず第1の感想。
30も過ぎたのに、和久井映見の花嫁姿の美しいこと美しいこと。

幼い頃に「のぞき」に行った白い花畑の於継は、加恵にはまぶしいくらいに美しく気高くて、憧れとして記憶に残る。実家の旅館のばたばたした空気の中では見かけることのない上品さ。母@根岸季衣になどそんな風情はない。
何を見込んで於継が加恵に息子の嫁という大役の白羽の矢を立てたのか、立てられた加恵は河原に佇んで憂うほど、暗い部屋で涙するほど、床で両親に背を向けてフテ寝するほど(笑)華岡家に嫁ぎたいと願う。
夫不在の嫁入り後、於継は加恵にとっても優しい。すんごく優しい。優しい言葉をかけるほどに・・・怖い。
眠れない加恵に「大丈夫、あんたなら大丈夫。待っていたのえ」と言って目を閉じる於継・・・怖い怖い。
処置室を覗いてしまいうろたえて寝室に入ろうとする加恵が見た於継、鏡台の前で振り返る顔・・・怖い怖い怖い。
暗めの着物だし、部屋も暗いし。出てくるときのぬ〜って見えてくるシーンは地味だけど息をのんだ。
でもまだ優しい。織物の織り方を教えたり、夫の役に立つことの大事さを優しく説いてもくれる。
今後のこの母の変貌が楽しみだ。
そして、おっと!入浴シーン。
おかはん(於継)の使い古しのぬかぶくろ(風呂で体をこする袋)を長女(中島ひろ子)に分けてもらって・・・てのは、半ば憧れを超えている気がするが・・・。風呂での加恵の表情ったら、まだダンナの顔を見てない嫁とは思えない恍惚とした風。でもそれくらい女として憧れてるんだよな。
幼い頃に於継を見た白い花畑に加恵も隣で歩く。白いその花は曼荼羅華。痛み止めであり、毒でもあると加恵に教える於継。
「おかはんと呼ばれ実の子のようにかわいく思う・・・その因縁は深いものやろうよし」
慈愛と毒に満ちた畑をゆったりと歩く二人。

そしてやっと登場。どんなかっこしてもイイ男、谷原章介@華岡雲平(後の青州) 
初めて見る嫁に「おうっ」て・・・
そんな夫にうろたえる和久井映見のかわいいこと。でも30過ぎてんだよな。それでもイイよな。
そんな加恵に気付いた於継の顔。怖い怖い。かわいい息子に会えたと思ってうきうきしてたら、「そうだった、自分が選んできた嫁がいたんだった」みたいなむっとした顔。足を洗おうとする嫁の手を弾いたりしちゃって。
ちょっと『大奥』みたいです。

来週から和久井映見の笑顔があんまり見られなくなりそうだな。
そのかわりスーちゃんの冷ややかな目が・・・ぞくっ。

長女役の中島ひろ子さんは、'94のNHKの単発ドラマ『雪』が素晴らしかった記憶が。
他のドラマや映画でも見かけるけど、あれが一番良かった。共演が香川照之フランキー堺塩見三省だったような。
ビデオなくしちゃったんで、DVDで出ないかなあと切望してます。

『雪』:モンテカルロ国際テレビ祭特別賞受賞・ギャラクシー賞受賞作品