剣客商売スペシャル助太刀

「老剣客が夢を託した娘婿には仇がいた!武士道に背いても守りたい父娘の幸せ」

なんだか後味の悪い時代劇だった。見ている間中,居気分が悪くていつチャンネルを変えようかCMの度に考えていた。
そんな感想の時代劇、そうはないだろう。
剣客商売』はもともと好きだった。主水をやらなくなった藤田まことの時代劇を唯一TVで見ることのできるドラマだし、時代劇の常識として勧善懲悪だし、かといって単純な人間像ではなくきちんと人の生き方みたいなものを見せてくれていた、はずだった。
やっと女としての幸せを手にしたお信(中原果南)。相手は凄腕の剣豪でお信に一目惚れしたという忠兵衛(山田純大)。娘婿と道場の跡取りを同時に迎入れて安心する小兵衛(藤田まこと)の古い剣友、善蔵(蟹江敬三)。しかし忠兵衛は仇討ちの果たし状まで受けるほどの不心得者。しかも共に逃げてきた女(奥貫薫)がいたなんて始末。
仇討ちしようとする伊織(石田法嗣)にそらやれといわんばかりの仇討ち賛成派ばかりで、その時代はそうなんだろうがやっぱり説明されても理解しかねるし、何よりも肺を病んだ善蔵とお信親子がどうしても救われない。彼等が何をした?
仇討ちをされて死ぬ間際駆け寄るお信に対して忠兵衛の呼んだ名は共に逃げてきてふられてしまった女の名「おまつ」だし。不幸な親子は死ぬまで不幸なのか?
自分は若い嫁(小林綾子)や強い息子夫婦(嫁:寺島しのぶ@強い強い!!!)と孫に囲まれ俗世間から離れて幸せに暮らして、古い友達にはなんの情もなくその娘婿への仇討ちを賞賛するのか。それが武士の常だとしても、そのやり方はないんじゃないか?まこと!もっと親子の気持ちを考えた解決法があったんじゃないか?田沼意次平幹二郎と相談してさ。
ラスト、善蔵の湖面を見つめる目はなんとも寂しく・・・救われない。笑顔のお信には今後の幸せを願いたいところだったが、何を見て微笑んでいるのか画面が暗くて(TVで!)分からなかったよ。
ほんっとに久しぶりに嫌なドラマを見た。

関係ないけど、田沼意次って、実際はあんまりいい老中じゃなかった気がするが。